認知症は私の身近な問題なので、映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』を観ました。

2018年に公開されたドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』この春、続編が公開されるニュースを見て、映画の存在を知りました。

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祖母と母がアルツハイマーなので私も覚悟はしています。

私の母方の祖母はアルツハイマー型認知症です。
80歳を迎えた実家の母も、2020年11月にアルツハイマー型認知症と診断されました。

私は今でいう「ヤングケアラー」の部類に入ると思います。

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私がアルツハイマーの映画を観たり調べたりするのは、自分のためです。

祖母も母も、同じアルツハイマー型認知症。
医学的には「遺伝ではない」そうですが、娘である私も同じ病気になるかもしれないという覚悟はあり、そのために備える事があればしておきたいと、常に思っています。
なので、今回は夫にも一緒に映画を観てもらいました。

アルツハイマー型認知症の映画はいくつか観ましたが、今回観た『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、初めて観たドキュメンタリー映画です。

映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の感想

お料理上手で裁縫上手。社交的で自慢のお母さんが「アルツハイマー型認知症」と診断され、介護するのは大正生まれのお父さん。老々介護です。

広島にいる両親の元へ、東京から帰省するたびにカメラを回す一人娘の直子。この直子さんが、映画の監督・撮影・語りを全てされています。

映画は、長い時間をかけて撮影した家族の姿が収められています。

乳がんになった直子さん(過去の映像)のために、元気だった頃のお母さんが上京し、付き添うのですが、娘への愛情と優しさがカメラを通して伝わってきます。
手術前の娘を励まし、笑顔を絶やさないお母さんですが、本当は心配でたまらない胸の内を隠しているのが分かるシーンでは涙が止まりません。

それから時が流れ、直子さんは乳がんを乗り越えて東京で仕事をしています。
広島のお母さんは「忘れる」ことが増え、アルツハイマー型認知症と診断されます。

認知症の進行とともに、感情のコントロールができないことも増えたお母さん。
太陽の様なお母さんが変わっていく姿は切なく、老々介護の問題が立ちはだかり、涙なしでは観られないのですが、不思議と思わず笑ってしまう場面がたくさんあるのです。

それは、家族で過ごした長い歴史が、温かく優しい時間だったからではないかと思います。
映画を観ながら「この母さんがいいね」「こんなお母さんになりたいね」と、夫婦で何度も呟きました。
明るくて、いつも笑顔で、温かくて愛情深いお母さんと、常に前向きで努力家の大正生まれのお父さんの関係も素敵です。

アルツハイマーのドキュメンタリー映画ですが、心が癒され、「家族っていいな」と思います。

そして、困難な事が起きても、子どもの人生を尊重し、子どもが選んだ道を応援し、子どもの幸せを願うご夫婦の姿から、親としても学ぶことが多い映画でした。

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イラスト提供:フリー写真素材ぱくたそ

私と母の今後

私の母は80歳の今も、家業の仕事をし、帳簿をつけ、銀行で入出金をしています。
お金の管理は今でも間違う事はありません。
でも、それ以外のことでは、アルツハイマーの症状は確実に進行し、そのスピードは少しずつ速くなっています。(薬は飲んでいます)
そのうち「できないこと」の方が増えていくでしょう。

私と母は、「考え方」も「生き方」も正反対でした。

学歴の高い母は、私に自分以上の生き方を求め、両親の過度の期待に私が押しつぶされるのではないかと、高校の先生は心配していました。
そんな家庭環境だったので、高校を卒業するまでは実家から逃げる事ばかり考え、18歳で家を出てからは、戻る事はありませんでした。

それなのに、娘2号が生まれて、次の仕事を見つけるまでのアルバイトのつもりで引き受けた実家の家業を手伝う事になり、人生は分からないものです。

バリバリと仕事をこなしていた母も年を取り、私を頼るようになってきました。
特に私が実家の仕事から離れてからは、相談されることが増えました。

母と私の関係がどうなるのか。誰が母の介護をするのか。先の事は分かりませんが、悩んだときこそもう一度この映画を観ようと思います
カメラを通して伝わる愛と家族の絆は、観るたびに一番大切なことを教えてくれるはずです。

続編も観に行きたいです。