強迫症(強迫性障害)の映画『インザプール』『恋愛小説家』

今日は暑い一日でした。
イチゴがお安くなっているこの時期にイチゴシェイクを作ります。
イチゴ・牛乳・砂糖をハンディブレンダーで混ぜた後、氷を入れてガーっと混ぜたら出来上がり。甘さ控えめで美味しいです。

娘2号が宿泊研修に行っている間の一人時間に観た映画の感想です。
主人公が強迫性障害の映画を選びましたが、『イン・ザ・プール』はコメディ映画として面白かったし、『恋愛小説家』は恋愛映画っていいなぁって、久しぶりに思った素敵な映画でした。

イン・ザ・プール

市川実和子演じるルポライターが、私と同じ「確認系の強迫症(強迫性障害)」です。

ガスは消したか、ドライヤーのコンセントは抜いたか、エアコンは消したか。何度確認しても心配になり、不安のあまり仕事を放り投げて自宅に戻って確認してしまった結果、仕事に穴を開けてしまいます。
私とよく似ているので共感出来ますが、私との違いは家にモノが多いこと。
ガスを消したか不安になって、一度つけて、また消すのですが、私は見ていてコンロの上に置きっぱなしのヤカンが心配でした。(笑)

主役でも、ちょい役でも、何かしら心に抱えている様子が細かく描かれています。

主人公はオダギリジョー演じる田口ですが、びっくりするような身体的な症状があり、原因は心因性ではないかと、松尾スズキ演じる精神科医の元で治療を受けます。
あらすじを見て、娘2号が宿泊研修に行っている間に見ようと決めていました。(笑)
オダギリジョーの身体的症状が気になる方はググってください。

田口(オダギリジョー)は、自分では心に引っかかる程度と思っていた「心のモヤモヤ」でしたが、実は、「怒る」「怒鳴る」など感情をぶつけずため込んでいた為に症状が出たようです。(映画の最後の方で分かります)

私自身、腹が立つことがあっても顔にも出さず、ぐっと飲み込んでやり過ごすタイプなので、共感出来ました。
私の場合、心にため込んだものが爆発したとき、相手とスッパリ縁を切ることで爆発した溜め込んだ気持ちが解消されます。
これが職場となると、自分か相手が仕事を辞めたり、移動になるまで出来ないので辛いところです。
怒りをため込むよりハッキリと伝えた方がいいと思いますが、そう簡単にいかないんですよね。人間関係は難しいです。

精神科医(松尾スズキ)は、強烈なキャラです。
自由人というか自分勝手というか、患者の話をちゃんと聞いているのか分からない医者です。私の主治医とは大違い。(笑) 私の主治医は、優しく、否定せず、寄り添うタイプです。

でも、誰よりも患者のことを考えているのは間違いない。
言っていることも、的を得ています。
なかなか治らない強迫症には、映画のような強烈で強引な方法がいいかもしれませんが、私には向いてなさそうです。

プールで泳ぐことに依存している大森(田辺誠一)は、自分が依存症とは気が付いていません。
世の中にはいろんな依存症がありますが、もしかしたら初めは依存症になっているとは思いもせず、気づいたときには深みにはまっているのかもしれないと思いました。

強迫症を知る映画というよりは、コメディ映画です。
精神病を深刻にとらえず、笑いに変えてくれます。
映画を見た後は、誰しも抱えているものが大なり小なりあるという事に気が付いて、ちょっとホッとします。精神科医・伊良部シリーズが原作です。小説も面白そうです。

恋愛小説家

1997年のアカデミー賞「主演男優賞」と「主演女優賞」を受賞した作品。
ストーリーはゆっくりと描かれていますが、2時間18分という長い時間を感じさせない映画でした。

主人公のメルヴィン・ユドール(ジャック・ニコルソン)は、毒舌で身勝手な嫌われ者ですが、仕事はなぜか恋愛小説家。
マンションのご近所さんの犬をゴミとして捨てちゃうほど嫌な奴。
強迫症の行動は、「ドラマ名探偵モンク」とよく似ています。

★歩くとき、石畳の切れ目を踏まない様にしている。
★毎日同じレストランで同じものを注文し、カトラリーは持参している。(不潔恐怖症)
★自分が座ると決めている席に他の人が座っていると暴言を吐いて追い出す。
名探偵モンクも強迫症から身勝手な行動をすることが多々ありました。
★熱いお湯をつかって「熱い」と言いながら手を洗っている。使った石鹸は使い捨て。 (不潔恐怖症)
★家の中は整理整頓されてきれいに片付いている。
強迫症の共通点?名探偵モンクも私も、家の中がきれいです。反対にモノを捨てられずにため込む症状もあるそうです。
★ドアのかぎや電気をつけるときは5回繰り返す。(ピッタリ系の強迫症)

小説の印税で暮らしているようですが、裕福な印象です。
お金がないと、手洗いの度に石鹸を使い捨てなんてできませんからね。(笑)

メルヴィン・ユドール(ジャック・ニコルソン)が毎日通うレストラン。
そこで働くシングルマザーのキャロルと親しくなりますが、相手の気持ちを考えずに行動するので誤解を招きます。

もしかするとメルヴィンは、自分の殻にこもっていただけかもしれません。
キャロルやご近所の人たちと関わるうちに、本来持っていた優しい姿に少しずつ変わっていきます。メルヴィンの優しさは本来持っていた本当の姿ではないかと思います。
生き方が不器用で、強迫症が邪魔をしているだけかもしれません。

心に残ったのは、キャロルに
「なぜ普通のボーイフレンドになれないのか、いつの変な事を言い出すのか」と、責められた時。
キャロルのお母さんが割って入って一言だけ言います。
「理想の恋人なんてどこにもいないのよ」

奥の深い言葉にじ~んとしました。
「普通」って何だろう、「理想」って何だろう。

私は普通を装っているけれど、実際は「強迫症」を抱えている。
周りが知らないだけ。
家族にとっては決して「理想のママ」ではないし、「普通のママ」でもないかもしれません。「理想」も「普通」も基準は人それぞれで曖昧だから、分からないです。
「普通」を追い求めすぎると、目の前の幸せが見えにくくなるのかも……

映画の最後で、メルヴィン・ユドール(ジャック・ニコルソン)は素晴らしい恋愛小説家なんだ!と、納得する場面があり、見ていて幸せな気持ちになりました

ジャックニコルソンは誰もが知る有名な俳優ですが、強迫症をリアルに演じていて、「あ~分かる!」と映画を見ながら何度も言いました。(笑)
素晴らしい演技力に脱帽です。そして、カッコイイ!

それと、映画で使われている音楽がすごくいいのです。
サントラ盤が欲しくなるくらい。
大好きな映画になりました。